全国主要地域賃貸市場動向:CRIX指標を活用した最新のエリア別分析

【CRIX vol.26】2026年3月 全国主要地域のCRIX一覧(空室率と平均支払賃料) 資料ダウンロード

不動産市場アナリスト : 藤井 和之
日本情報クリエイト株式会社 データ戦略室執行役員 : 林 宏

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日本情報クリエイト株式会社(本社:宮崎県都城市、代表取締役社長:辻村 都雄、以下「日本情報クリエイト」証券コード:4054)は、このたび賃貸不動産市場の指標であるCRIX指標を活用した月次レポートを公開したことをお知らせいたします。

本レポートでは、最新データに基づき、全国主要地域の市場動向を詳しく解説します。

※公表されている数値についての当社調べ。

 
 

東京23区の賃料上昇に変化の兆し 

 

東京23区

 東京23区では、アパート・マンション共に、全面積帯で空室率の改善が継続しています。平均支払い賃料(以下、支払い賃料)は、アパートの家族向けの50㎡-を除き、前月比で上昇しています。しかしながら、支払い賃料の上昇幅に縮小傾向が見えてきました。東京23区への人口流入超過数(12か月移動平均)は、直近のピークである2024年8月の半分近くまで減少しています。募集賃料が急上昇したことから、東京23区内居住を断念する動きが進んでいると考えられます。マンションのカップル向けの30-50㎡、家族向けの50㎡-を除いて、支払い賃料の上昇率は物価上昇率を下回っているため、他地域に比較して賃料を上げやすい東京23区では、当面、支払い賃料の上昇基調は継続すると考えられますが、今後の支払い賃料の動向には注意が必要です。 

 

東京都下

 東京都下では、アパート・マンション共に、全面積帯で空室率の改善が継続しており、家賃の高い東京23区を避けたいと考えるテナントの受け皿になっていることがわかります。

 しかしながら、支払い賃料の上昇には鈍さがみられ、賃料改定やテナントの入れ替えが進んでいないことや、賃料を下げて空室を埋めている可能性を示しています。また、アパート・マンション共にカップル向けの30-50㎡、アパートの狭い単身者向けである0-20㎡、マンションの家族向けの50㎡-の支払い賃料は2018年1月水準を下回っています。ただし、新築・中古マンションの価格上昇から購入を断念した層の需要は強く、マンションの50㎡-の支払い賃料は、上昇傾向で推移しています。 

 

神奈川県

 川崎市では、アパート・マンション共に、全面積帯で空室率の改善が継続しています。一方、アパート・マンションの50㎡-、マンションの20-30㎡を除いて、支払い賃料は前月比で下落しています。前年同月比の支払い賃料で上昇しているのはアパートの50㎡-のみですが、2018年1月水準を大きく下回っています。交通利便性の悪いエリアで、賃料改定やテナントの入れ替えが進んでいない、または賃料を下げて空室を埋めている等の可能性を示しています。  

 横浜市では、アパート・マンションのすべての面積帯で空室率の改善が継続しています。単身者向け(0-20㎡、20-30㎡)の支払い賃料は、アパートは前月比、前年同月比共に下落、マンションの0-20㎡も前月比、前年同月比共に下落、20-30㎡のみ前月比、前年同月比共に微増となっています。横浜市の単身者向けは供給過剰気味となっており、賃料を下げて空室を埋める、賃料改定を断念する等、苦慮していることがうかがえます。特に、マンションの0-20㎡の支払い賃料は2018年1月水準を下回っており、経営環境の厳しさがうかがえます。横浜市では、新築・中古マンションの価格上昇から購入を断念した層の需要が根強く、アパート・マンション共にカップル向けの30-50㎡、家族向けの50㎡-の支払い賃料は上昇傾向で推移しています。  

 

埼玉県

 さいたま市ではアパート・マンションのすべての面積帯で空室率の改善が継続しています。ただし、アパートのカップル向けの30-50㎡、家族向けの50㎡-の空室率、マンションの広めの単身者向けの20-30㎡を除く全面積帯の空室率が、前年同月を上回っています。マンションの支払い賃料の上昇率は、カップル向けの30-50㎡を除き、物価上昇分を確保できていますが、アパートの支払い賃料の上昇は鈍く、賃料改定が進んでいない可能性を示しています。特に、家族向けの50㎡-の支払い賃料は下落が続いており、2018年1月水準を大きく下回っています。  

 

千葉県

 千葉県西部(柏市、松戸市、流山市、我孫子市、市川市、浦安市、習志野市、船橋市)では、アパート・マンションのすべての面積帯で空室率の改善が継続しています。しかしながら、アパートの支払い賃料は全面積帯が弱含みで推移しており、賃料改定やテナントの入れ替えが進んでいないことや、賃料を下げて空室を埋めている可能性を示しています。これに対して、マンションの支払い賃料は面積の狭い単身者向けである0-20㎡を除いて上昇基調で推移しています。なお、アパートの50㎡-、マンションの0-20㎡の支払い賃料は2018年1月水準を下回っています。  

 

札幌市

札幌市では、アパートは単身者向け(0-20㎡、20-30㎡)、マンションではカップル向けの30-50㎡、家族向けの50㎡-の空室率が前月比で悪化しました。支払い賃料についても、単身者向けは、アパート・マンション共に0-20㎡は下落傾向、20-30㎡は2018年1月を下回る水準で推移しており、供給過剰となっていると考えられます。対して、家族向けの50㎡-は、アパート・マンション共に上昇基調で推移しており、新築・中古マンションの価格上昇から購入を断念した層の需要を取り込んでいることがうかがえます。 

 

仙台市

仙台市では、アパート・マンション共にすべての面積帯で空室率が前月比で改善しました。ただし、面積の狭い単身者向けの0-20㎡の空室率はアパート・マンション共に高い水準で推移しています。0-20㎡の支払い賃料についても、長期に下落傾向で推移しています。特にマンションの0-20㎡の支払い賃料は2018年1月の水準を10%以上下回っています。対して、面積の広い単身者向け20-30㎡の支払い賃料は上昇傾向で推移しており、仙台市の賃貸住宅市場では、単身者は面積の広い部屋を選好していると考えられます。カップル向けの30-50㎡の支払い賃料は、アパートは横ばい傾向、マンションは上昇傾向、家族向けの50㎡-の支払い賃料は、アパートは下落傾向、マンションは上昇傾向で推移しています。東日本大震災の影響もあり、アパートよりも堅牢なマンションが選好されていることから、アパートは賃料を下げて空室を埋めていると考えられます。  

 

名古屋市

 名古屋市では、アパートの家族向けの50㎡-を除く、アパート・マンションのすべての面積帯で空室率が前月比で改善しました。アパートの支払い賃料は、50㎡-を除くすべての面積帯で前月比下落しています。特に、カップル向けの30-50㎡の支払い賃料は、長期にわたり下落が継続しています。マンションの支払い賃料はすべての面積帯で上昇基調ですが、面積の狭い単身者向けの0-20㎡の支払い賃料には頭打ち感がみられます。中東情勢の悪化により、自動車の部品が材料不足となる可能性が報道されています。名古屋市の賃貸住宅市場は自動車産業の業績との関連性が強いことから、今後の市場状況には注意が必要です。  

 

京都市

 京都市では、アパート・マンション共にすべての面積帯で空室率が前月比で改善しました。一方で、アパート・マンション共に狭い単身者向けの0-20㎡の支払い賃料は2018年1月水準を下回っており、賃料を下げて空室を埋めている、もしくは民泊用等にバルクで貸し出されている可能性も考えられます。対して、広い単身者向けの20-30㎡の支払い賃料は上昇傾向で推移していることから、京都市では面積の狭い単身者向けが選好され難くなっていると考えられます。京都市では、アパートのカップル向けの30-50㎡の支払い賃料も2018年1月水準を下回る水準で推移しており、築古の物件が多い、もしくは賃料を下げて空室を埋めている可能性を示しています。新築・中古マンションの価格上昇から購入を断念した層の需要を取り込んでいることから、マンションの家族向けの50㎡-の支払い賃料は上昇基調で推移しています。アパートの50㎡-は横ばい傾向ですが、アパートの中では比較的高い水準で推移しています。 

 

大阪市

 大阪市のマンションの空室率はすべての面積帯で改善しました。支払い賃料は、アパートの面積の狭い単身者向けの0-20㎡を除く、アパート・マンションの全面積帯で上昇傾向にありますが、0-20㎡はアパート・マンション共に2018年1月の水準を下回っています。対して面積の広い単身者向けの20-30㎡の支払い賃料は、アパート・マンション共に上昇基調で推移していることから、大阪市では単身者向けは面積が広い方が選好されていると考えられます。また、マンションのカップル向けの30-50㎡、家族向けの50㎡-は、新築・中古マンションの価格上昇から購入を断念した層の需要を取り込んでいることから、支払い賃料は上昇傾向で推移しています。  

 

福岡市

 福岡市ではアパートの50㎡-を除き、アパート・マンション共にすべての面積帯の空室率が前月比で改善しています。アパートの50㎡-の支払い賃料は2024年以降に急上昇しており、空室率はその1年後の2025年以降から急上昇しています。支払い賃料の上昇で、賃料差の縮小したマンションが選好されるようになった、分譲マンションや戸建て購入時の住宅ローンとの差が縮小したため競合が生じるようになった等の要因が考えられます。単身者向け(0-20㎡、20-30㎡)の支払い賃料は、アパート・マンション共に、0-20㎡は上昇基調も低い水準、20-30㎡の支払い賃料は、下落傾向で推移しています。福岡市では単身者向けの物件が供給過剰であり、賃料を下げて空室を埋めていると考えられます。

 

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