賃貸住宅管理業法で求められる対応とは?法律の概要と合わせて紹介
2021年6月15日に賃貸住宅管理業法が施行されたことにより、賃貸住宅の管理を営む不動産会社には、法律に則った対応が求められます。
しかし、細かい法律の内容やどのような対応が必要なのか、具体的に分からないという人も少なくないでしょう。
この記事では、賃貸住宅管理業法の概要や不動産会社に求められる対応について分かりやすく解説します。
賃貸住宅管理業法とは?
賃貸住宅管理業法とは、賃貸住宅の管理業務を適切に行うことを目的に定められた法律です。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001404844.pdf)(2023年7月18日確認)
現在、賃貸住宅は単身世帯などを中心に多くの人が利用しています。また、その管理を管理会社に委託する人も多い傾向があります。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」(https://www.mlit.go.jp/common/001320849.pdf)(2023年6月27日確認)
管理会社がオーナーと入居者の間に入ることで適切に管理できる反面、トラブルに発展するケースも0ではありません。近年では、契約内容の誤認やサブリース契約でのトラブルなど、さまざまなトラブルが発生することが課題となっています。
その課題を解決するために、整えられた法律が賃貸住宅管理業法なのです。
賃貸住宅管理業法では、次の2つが大きなポイントになります。
- サブリース業者への規制
- 賃貸住宅管理業者への規制
サブリース業者への規制
管理業法によって、サブリース契約について一定の規制が設けられました。主に、以下5つの項目が定められています。
- 1. 誇大広告の禁止:著しく事実に相違する表示を禁止
- 2. 不当な勧誘の禁止:不正確な情報による勧誘や強引な勧誘を禁止
- 3. 契約締結前の契約内容の説明と書面の交付:オーナーに重要事項を記した書面を交付
- 4. 契約締結時の書面交付:オーナーに契約書類を交付
- 5. 書類の閲覧:一定の書類を事業年度ごとに作成する義務
詳しい内容は、「サブリース業者と物件オーナー間で行う賃貸借契約に関して規定された内容」で解説しています。
賃貸住宅管理業者への規制
管理業法では、サブリース業者への規制の他、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業をおこなう事業者に対して、国への登録が義務付けられました。現在では、2022年6月15日までの経過措置期間が終了しており、事業者登録を行っていない場合は罰則が科されるため注意が必要です。
また、賃貸住宅管理業法の施行に伴い、令和5年1月から2月にかけて国土交通省による立入検査がスタートしました。この検査では、全国97社の業者で調査が実施され、そのうち59社が是正指導を受けています。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業者及び特定転貸事業者59社に是正指導~全国一斉 立入検査 結果(令和4年度)~」(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00060.html)(2023年6月27日確認)
立入検査は引き続き実施される見込みのため、対応が遅れている場合は早めに対応しておくことが重要です。
サブリース業者と物件オーナー間で行う賃貸借契約に関して規定された内容
管理業法では、賃料減少についてきちんと説明されないまま契約を結ぶといったトラブルを防ぐために、以下5つの規制が設けられました。
- 1. 誇大広告の禁止
- 2. 不当な勧誘の禁止
- 3. 契約締結前における契約内容の説明及び書面交付
- 4. 契約締結時における書面交付
- 5. 書類の閲覧
誇大広告の禁止
管理業法では、チラシやHP・SNSなどすべての広告媒体における誇大広告が禁止されています。
広告においては「2年後には必ず家賃が半額になる」といった不透明な未来や「利益が確実に出る」といった不確実な内容を記載することはできません。
広告だけでなく、セミナーや面談・勧誘時などの発言でも、誇大広告にあたると判断される場合があるので注意しましょう。
不当な勧誘の禁止
勧誘の際には、契約を判断するために必要な判断材料をすべて正しく提示する必要があります。
サブリース契約では、リスクについて告げずに契約し、物件管理などで問題が発生した際にトラブルへと発展するケースが珍しくありません。このようなリスクを告げない契約は、管理業法の施行によって“不当な勧誘”と判断されました。
よって勧誘する際には、メリット・デメリットやリスクを正しく伝えたうえで、契約を判断してもらうことが必須となります。
契約締結前における契約内容の説明及び書面交付
賃貸住宅管理業者とオーナーがマスターリース契約を締結する際、締結前の重要事項説明が義務化されています。
管理業法の施行前は、マスターリース契約前に重要事項説明を行うかは、賃貸住宅管理業者の判断に任されており義務ではありませんでした。
しかし、現在は契約締結前の重要事項説明と説明内容を書面で交付することが義務付けられています。
契約締結時における書面交付
サブリース業者は、契約時に一定の事項が記載された書面を交付する必要があります。
主な記載事項
- サブリース業者の商号、住所
- 対象となる賃貸物件
- 契約期間
- 家賃や賃料の条件
- 賃貸住宅の維持保全の実施方法と費用分担に関して
- 契約終了時のサブリース業者の権利義務の継承に関する事項など
なお、契約書にこれらの必要事項が記載されている場合は、契約書をこの書面とすることが可能です。
書類の閲覧
サブリース業者は、一定の書類を事業年度ごとに作成し事務所ごとに備え置き。さらに、希望者には閲覧させる義務があります。
作成が必要な書類は以下3つです。
- 1. 業務状況調書
- 2. 貸借対照表及び損益計算書
- 3. 上記に代わる書面
書類の保管は、出力できる形式であれば電子データとしての保管も可能です。
賃貸住宅管理業者に求められる対応
管理業法の施行に伴い、賃貸住宅管理業者には次の5つの対応が求められます。
- 1. 賃貸住宅管理業の登録
- 2. 業務管理者の配置
- 3. 管理受託契約締結前の重要事項の説明
- 4. 財産の分別管理
- 5. 定期報告
求められる対応の詳細は、日本情報クリエイト作成のノウハウ集「賃貸住宅管理業法ノウハウ集」でも説明しています。
ダウンロードは無料でできるので、ぜひ参考にしてみてください。
賃貸住宅管理業の登録
管理業法では、「賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない」という文が記載されました。これにより、管理戸数200 戸以上の賃貸住宅管理業を営む事業者は、国土交通省への申請と登録が必要です。
この際、管理する不動産が1棟単位であっても、棟の中に20戸入っていれば20戸としてカウントされます。
200戸を超えた時点で登録が必要になってくるため、今度の管理戸数などを踏まえて登録時期を判断するようにしましょう。
業務管理者の配置
賃貸住宅管理業務を営む場合、営業所または事務所ごとに業務管理者を1名以上配置する必要があります。
業務管理者は、次のいずれかの要件を満たした人のことを言います
- 管理業務に関する2年以上の実務経験+登録試験に合格
- 管理業務に関する2年以上の実務経験+宅建士+指定講習を修了した人
業務管理者は、営業所や事務所の専任宅建士と兼任することが認められています。ただし、複数の営業所や事務所を兼任できない点には注意しましょう。
管理受託契約締結前の重要事項の説明
賃貸住宅管理業者とオーナーが契約を結ぶ際には、契約締結前に書面を交付し、重要事項の説明を行う義務があります。
書面や説明では、トラブルの原因になりやすい次の3つの内容を双方で認識違いが無いようにすることが求められます。
- 管理業務の内容や実施方法
- 報酬
- 更新や解約について
オーナーの同意を得られれば、オンラインでの重要事項説明や電子書類の交付も可能です。
財産の分別管理
賃貸住宅管理業者が入居者から預かったお金を資金繰りで使いオーナーに損害が出ることを防ぐため、賃貸住宅管理業者には、会社資産と入居者からいただいた受領金を分別管理することが義務付けられました。
分別管理を行う際は、次のような方法を用います。
- 家賃の入金口座と業者の専用口座を別に開設して管理する
- 入居者からの受領金がどの管理受託契約に基づくものかを帳簿や会計ソフトで判断できる状態にする
賃貸住宅管理業者には、オーナーが受け取る利益が少なくならないよう、はっきりわかる形で分別管理することが必要となっているのです。
定期報告
日々の管理業務でどのようなことを実施したか、定期的にオーナーへ報告する必要があります。
報告すべき項目としては、以下のようなことが挙げられます。
- 家賃などの金銭収受状況
- 維持保全の実施状況
- 入居者からの苦情の発生状況やその対応など
これらの情報を記載した報告書を作成し、少なくとも年1回以上の報告説明が必要です。
また、定期報告も重要事項説明と同様に、オーナーの了承が得られればオンラインでの説明や電子データでの書面の交付も可能ですが、オフライン同様に丁寧な説明が求められます。
日本情報クリエイトの賃貸革命で不動産の管理業務を効率化しよう
賃貸住宅管理業者には、業務を賃貸住宅管理業法で定められた形へと素早く変化させることが求められています。
管理業務を管理業法に則って適切に、かつ効率的に行いたいなら、日本情報クリエイトの 「賃貸革命」がおすすめです。
不動産管理業務を一元化でき、管理業法にも対応した「賃貸革命」
賃貸革命とは、不動産管理に必要な情報を一元管理できるシステムです。
登録した物件情報を一元管理することで、入力の二度手間や入力ミスを防ぎ業務効率改善が図れます。
登録した情報は、チラシやポータルサイトに簡単に転用可能。デザインにこだわった物件資料作成や在庫管理などの仲介業務にも対応しています。
このシステムがひとつあるだけで、募集から建物の修繕までワンストップでカバーが可能です。
また、賃貸革命は管理業法にも対応しています。
対応例
- 業務管理者の配置:「賃貸住宅管理業者の免許年月日」と「業務管理者」を賃貸革命に登録し、各種帳票へ出力可能
- 管理受託契約締結前の重要事項の説明:賃貸住宅管理受託契約書や賃貸住宅管理受託契約重要事項説明書などの書式で出力可能
- 財産の分別管理:どの口座にどの種類のお金が入金されたか、「未入金」などのステータスごとに確認可能
- 定期報告:賃貸革命の登録データを活用して管理業務報告書を効率よく作成可能
賃貸革命を利用することで管理業法に則った管理ができ、オーナーや入居者とのやり取りをスムーズに行えます。
豊富なオプションと連携し、自社の業務体制に適したシステムを構築
賃貸革命は、日本情報クリエイトの不動産BBをはじめとした豊富なシステムやオプションとの連携が可能です。
- 会計連動オプション:入金送金情報の会計ソフトへの自動取り込み
- 経営分析オプション:データの自動集計・分析で経営の見える化
- 賃貸営業支援システム:メール追客や顧客反響管理
上記以外にもさまざまなオプションが用意されています。
自社に合わせたオプションを組み合わせてカスタマイズすることで業務効率がアップし、満足度や集客力の向上にも繋がってくるでしょう。
まとめ
2021年から施行された賃貸管理業法では、「サブリース業者への規制」と「賃貸住宅管理業務への対応」が義務付けられました。
サブリース業者は、不当勧誘や誇大広告の禁止・重要事項説明が必要になります。
また、賃貸住宅管管理業者には、登録義務や業務管理者の設置・定期的な報告などの対応を求められています。
国土交通省による対象業者への立ち入り検査も進んでいるため、対応がまだの業者は素早く対応しなければいけません。
日本情報クリエイトの賃貸革命なら、管理業法に対応しているだけでなく仲介から管理業務まで一元管理できるため業務効率の改善も図れます。
豊富なオプションも用意されているため、自社に合わせて最適なシステムを構築することで、業務改善や集客力向上にも繋がるでしょう。この機会にぜひ検討してみてください。